栗林隆「元気炉」ドクメンタ15 展示支援プロジェクト
一般社団法人somethinglikethisは、ドイツ、カッセルで開催されるdocumenta15 (開催期間 2022/6/18-9/25)に参加する栗林隆のプロジェクトを支援します。
ドクメンタ(documenta)とはドイツの中央部(かつての東西ドイツ国境付近)、ヘッセン州にあるカッセルで、1955年以来、5年に一度行われる現代美術の大型国際展です。
毎回設定されるテーマのもとに現代美術の先端を担う作家を世界中から集めて紹介するという方針で開催されており、美術界の動向に与える影響力が大きく、世界の数ある美術展の中でも最古の国際展である「ヴェニス・ビエンナーレ」に匹敵する重要な展覧会の一つに数えられています。そうした重要な国際展に栗林が選抜されたのは誠に名誉な事です。
「元気炉」は、栗林が、2020年から2021年にかけて入善町(富山県)入善町 下山芸術の森 発電所美術館で開催された個展での作品です。
この作品「元気炉」が生まれた背景は、2011年に起きた東北大震災に遡ります。
栗林自身こう述べています。
2011年3月11日、東日本大震災、それに伴う福島第一原子力発電所の事故、これらの一連の出来事が、私に新しい時代への可能性と絶望を感じさせた出来事である。この事故により多くの人達が目を覚まし、時代の流れが自然エネルギーや再生可能なものへと大きく舵を取り、全く違う世界へと変化する、千宮のチャンスだと捉えていたからである。
ここで栗林は、原発事故の恐ろしさを認識しましたが、現状の原発に批判的と言うよりも、人々にとって可能性と持続性の高いエネルギーのオプションの提案をしています。
実際に栗林は、20代の頃にタイに赴いて薬草スチームサウナであるタイ式のスチームサウナに親しみ、崩した体調がスチームの中に入って自分のエネルギーを取り戻し、充填する経験をしています。
2011年に起きた東北大震災以降、これからの社会のあり方について思考を重ねてきた栗林は、下山芸術の森 発電所美術館での個展開催の機会を得、かねてより実現の準備をしていた「元気炉」を展示することになります。
これに続いて、「元気炉」2号機が、栃木県大谷町の大谷石地下採掘場で設置されました。
ドクメンタの芸術監督を務めるのは、インドネシアのアート・コレクティブ「ルアンルパ」で、彼らが提示するコンセプトは「ルンブン(Lumbung)」、インドネシア語でコミュニティにある知識やアイディア、資源などを集約し共有するという意味で、参加アーティストは「ルンブン・アーティスト」とも呼ばれています。
また、ドクメンタ参加作家は、ドクメンタ終了後も、それぞれの活動地に戻り、継続した活動が期待されています。栗林の「元気炉」もまた、ドクメンタ以降も、国内外を問わず継続した展示が構想されています。
当法人では、企業からの基金、本年5月にローンチ予定のクラウドファンディングを通じて資金を募集していく予定です。