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当法人について

近代社会は合理主義と機能主義を主な柱として構築され今日に至っています。
同時にアナログ社会からデジタル社会へのシフトに象徴されるように同時代のテクノロジーの進化もまたその構築を強化して来ました。今日の利便性の高い生活が担保されている所以でもあります。

さて、合理主義と機能主義は、社会を無駄なく制度化して来ましたが、一方で、人の営みは、そうしたシステムとは異なり、日々の活動の小さな積み重ねや、日頃の気づきによって行きつ戻りつしながら歩んできました。
こうした社会を構成する異なる因子はお互いにバランスを保ちつつこれまで展開して来ました。ところが、21世紀以降のデジタル情報化社会は、合理主義と機能主義を加速化させ、これまでの社会を構成する因子のバランス均衡に大きな影響を及ぼし、人間的な営みは急速に進むデジタル社会から取り残されようとしています。
こうした状況の中で、改めて美術の世界における表現すること、あるいは表現の方法が、無駄は極力省いていこうとする現代社会の負の側面に気づきを起こさせてくれます。
意味のあること、意味のある行為が優先される社会が取りこぼしている事象は、人間は生きていく上でかけがえのない本質を今一度振り返らせてくれます。

こうした理念のもとで、当社団法人設立へと意識が高まったのには、近年における社会・経済上のいくつかの諸要因も背景となっています。
1つは、少子高齢化社会が進む中、国全体の税収の減少、日本の社会保障費や防衛費等予算や国債費の増加に伴いアート業界に対する公的資金の財源が枯渇化していく可能性が高まるという国内事情、2つめは、資本主義とグローバリズムによる富の遍在化が影響したアート作品の価格高騰に伴う美術館による作品購買コストの上昇という国際事情、3つめは、年々増加する美術館の収蔵作品によって必要となる管理コストの増大という美術館システムに困難を伴っている事情があります。
これに加えて、国内美術大学の組織構造上の弊害に起因する教育そのものの質の低下という国内美術教育事情も意識せざるを得ません。こうした背景がもたらし、また今後増長する可能性が高い影響として、美術館が美術館たる大きな柱の1つである展覧会に対する予算の削減や作品コレクションの継続性が不可能となること、それに伴い美術館およびそこで働くキュレーターは新たな資金調達手段が必要となること、また、新しい役割を作り出していく必要性にせまられうること、アーティストが目指すべき方向性にも影響を与えうること、そして、時代に適した教育を受けられないアーティストが輩出されうることが容易に予測される状況だといえます。
加えて、市場主導の価値創出(含むプライベート美術館の活動)に対して、パブリックな美術館主導の価値創出が相対的に弱まる可能性も考えられることから、アート業界の質そのものの向上や維持にも危機感を抱かざるを得ません。

以上のような社会と美術を巡る事項に注視し、これからのアートそのものの進む方向性に光を当て、アーティスト、作品、受容者の媒介として機能すべく様々なプログラムの実施をしていくのみならず、美術館や大学と言った教育機関のオルタナティブな運営方法についての提言、アート業界の外にも目を向けた社会との新たな有機的連携等にも取り組んで行きます。
具体的には以下のように、アーティスト、キュレーター、批評家が国内外で活躍するための支援を行い、アートと多様な領域を繋ぐ提言や活動を通じて、時代に適した文化芸術環境を育んでまいります。

 1 アーティスト、キュレーター、批評家の活動支援
 2 芸術活動に関わる教育コンテンツの企画・制作及び提供
 3 展示会・シンポジウム等のイベントの企画、立案及び運営
 4 アーティストの芸術活動拠点及び関連施設の提供
 5 美術館・アートセンター等に対するアート、経営又は金融アドバイザリー事業
 6 非営利組織と営利組織又はアートとその他領域の協業提案及びアドバイザリー事業
 7 美術愛好家に対する啓蒙活動事業
 8 芸術活動の表彰・アワードの運営又は支援
 9 芸術に関する調査研究
10 芸術に関する国内外の交流を促進する事業

以上

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